野口敬氏の件

(追記)さらにまとめを追加


本人からの接触が無いのでスルーするつもりでいたが、支援者の皆様による「悪意」や、言われない「敵意」ともいえる書き込みが他所で続いていたので著者本人にメールを送ってみた。
するとなんと俺の一連のエントリは刑法第二百三十条「名誉毀損罪」に明らかに相当する罪を構成しているので刑事告発・民事提訴両方の対応を顧問弁護士が進めるという旨の返信をいただいた。
いったいどういうことか。


その前にまず「うつ」な人ほど強くなれる―『うつ』になりやすい性格こそ「成功する条件」 (アスカビジネス)のレビューに対して起こった出来事を時系列にまとめてみる。
3月20日に「うさんくせー」というタイトルで、本書を読んで内容から受けた感想と、「抗うつ薬はとても効くので」「豪傑タイプの人はまず鬱にはなりません」「一番大事な薬は心のケアです」といった内容について一般的な鬱病ケアとの矛盾点を指摘した。
そして辛口なレビューということは認識していたので一方的な議論になってしまわないよう著者のBlog“うつ”に悩む方々のためのブログですに対してトラックバックを行った。


翌3月21日、そのトラックバックは残念ながら削除されてしまった。
そこで「当たり?」というエントリで「嫌がらせなどをする意図ではない」「著者が苦しんでいる人を助けようとする意思は読み取れる」と前置きした上で、前日のレビューを書くにいたった経緯と、トラックバックの問答無用な削除に対する印象、それになぜこの著書を薦められないかという点について、リスクとリターンという観点から理由を述べた。
そして前日のトラックバックは消されはしたが著者のBlogがトラックバックを受け付けている以上、批判であれ相手方から参照できるようにするのがBlog上でのネチケットと考え、再びトラックバックを送った。*1


その後3月23日から25日にかけて、最初に書いたエントリに対して、野口氏の支援者と思われる方からコメントが寄せられ、すこしやりとりをした。
同じ頃、「支える」ネットというBlogからのアクセスが数件記録されていた。確かめたところ、野口氏の活動を支援する人たちが集うところらしい。しかし内容を見てすこし驚いた。(以下のエントリの一部はYahooBlogを持っていてこのBlogをお気に入り登録すれば見ることができる)
3月22日に書かれた「野口先生のブログに」というエントリで、

野口先生のブログに執拗なトラックバックをつけている者がいます。

「天球日記」と名乗っています。
http://d.hatena.ne.jp/yuta-celestial/20080320/1206038393

野口先生の本「“うつ”な人ほど強くなれる」を逆恨みして、AMAZONの書評にまで誹謗のコメント「俗説を助長する悪書」を書いています。

http://blogs.yahoo.co.jp/sasaeru_net/archive/2008/03/22

などと書いているのだ。さらに3月24日には<野口先生からの寄稿です>と前置きして「ご支援、ありがとうございました」というエントリで

一昨日ここで掲載させていただきましたように↓、私のブログに悪意あるトラックバックがつけられていました。
それに対し「匿名」で「支援コメント」を相手のブログにお書きいただいた方がいらっしゃいました。
真摯で誠実なコメントは「悪意」や、言われない「敵意」も和らげます。
一生懸命に心苦しい方を支えようとして頑張っている時に、言われない誹謗は一番心にこたえます。
「匿名」でコメントをお書きいただいた仲間に「感謝」します。
何よりのありがたいご支援、ありがとうございました。

http://blogs.yahoo.co.jp/sasaeru_net/archive/2008/03/24


野口氏は俺のエントリを少なくとも読み、支援者に対して自分の受けた印象を伝えてはいるようだ。
そのまま直接俺に対して何かしらの意見を述べてほしかったが、どうやらその見込みは無く、批判のトラックバックを送るという行為が「悪意」「敵意」と解釈されているようなので、「例のブログその後」というエントリを書き、その記事についてはトラックバックは送らなかった。


これでこの一連の件は終結したかに見えたが、3月28日には天球日記の最初のエントリに対してふたたびコメントがつけられた。
その直後、

アマゾンの方は 報告してきました。。
天体日記の方にはコメントを 入れてきました。。
野口先生の負担が少しでも減るように、みなさんで コメント
入れませんか??
その数が多ければ多いほど 彼はきっと困るでしょう。。

http://blogs.yahoo.co.jp/sasaeru_net/archive/2008/03/22

というコメントが「野口先生のブログに」のコメント欄に書き込まれた。

確認するとAmazonのレビューが削除されていた。
本書に批判的なコメントを書いているのだから、支援者から反論などがあることは予想していたし、それが多かれ少なかれ感情的なものだということは予想していた。それに対しても適切に説明すれば俺の考えを理解してくれるものと考え、あくまで野口氏からの接触を期待したのだが、残念ながらその後も本人からの接触はなかった。


また、3月29日には別の支援者からのコメントで

トラックバックは削除、アマゾンのレビューもスルー。それが最善であるように思います。売れている本にはたいていネガティブなとんでもないレビューがついていたりします。それでも良書は評価されつづけます。なぜなら、読んだ人自身がそれぞれ判断するからです。

とある。俺や一連のエントリ、天球日記にコメントすることに関して信用していないならこれが一番まともな対処法である。わざわざ一部の人しか見れないBlog*2でネチネチと揚げ足を取ったり、Amazonへわざわざ感情的になって通報するのではなく、Amazonレビューという中立的な場に野口氏を支援するレビューや、俺のレビューに含まれる間違い*3を正す投稿をすれば済む話なのだ。


しかし残念ながらこの一連のやりとりがこれで収束していたわけではなかった。


3月31日に後者の支援者が書いたコメントで、

野口先生からのメールで、今回の件に関する細かな経緯を知りました。
悪質トラックバックの削除で逆上し、攻撃性を増してきたとのこと。
基本的にスルーする方針ではらちがあかず、このような結果になって
しまったとのこと。

http://blogs.yahoo.co.jp/sasaeru_net/archive/2008/03/22

と書かれていたのだ。
いったい俺がどの段階で本書を逆恨みし、トラックバック削除に対して逆上し、攻撃性の高いことをしたのか。そしてまったくスルーだった野口氏はいったい何を持って埒が明かないと考えたのか。まったく分からない。
トラックバックは1度目は本書の感想、2度目は削除を受けたことに対する見解をそれぞれ伝えるもので、無関係のエントリに送ったり、短期間に何度も送るといったスパムや嫌がらせ行為ではない。
しかも送ったのはこの2件だけで、執拗と言われるほどのものとも思わない。


なお、このコメントをした人物は

「うつな人ほど強くなれる」のレビューの内容、これはかなりの矛盾点が含まれています。うつ病の治療法やケアが「確立されている」と断言していますが、まず、それが現実とはかけ離れた点です。DMS等を引き合いに出して批判していますが、そもそもDMSとはなんであるのか、その発展経緯がどのようなものであり、また、現在日本の精神医学の臨床の現場においてどこまでそれが受け入れられているのか、よくわかっていないのではなかろうかとすら思えます。

http://blogs.yahoo.co.jp/sasaeru_net/archive/2008/03/22

と書いているが、DSMをDMSと何度も誤記しており、レビューの矛盾が具体的にどのようなものかも明記しておらず、精神医学の臨床現場つーか自律神経機能調査まで含めた最先端の実験に加わってる俺からすればこのコメント者は鬱病DSMについての医学的・臨床的知識はほとんど、あるいは全く持っておらず、野口先生弁護のために俺が悪者という前提で話を進めようとしているように読める。


また、以上ことから、少なくとも野口氏は俺の出したいくつかの具体的な疑問点に直接答えることはせず、支援者のBlogの主催者とこのコメントを書いた少なくとも二人に対して、野口氏の主観からみた経緯を吹聴していたことが窺える。




そこで4月1日に野口氏に以下のような質問を含め、今回の一連の件に関するメールを送ったところ、冒頭のような返事が来た。

■質問■
貴方の本やBlogを読んで共感したり、貴方とのやりとりや交流会で救われる方はそれでいいと思います。
貴方を頼ってくる方に対応して少しでも心の負担を軽くすることが優先順位としては第一であろうことも認識しているつもりです。
そのうえで、貴方の本に共感できない方(とくに鬱の方やその周囲の方)からの疑問や反論に対してどのようなスタンスなのでしょうか?

(質問についての補足)
単なる感情的な反論や人格攻撃のようなあからさまな誹謗はスルーすべきだと思います。
しかし、誤解や疑問に対しては説明し、具体的な反論についても必要に応じて対応すべきだと思います。
もちろん私の書評は私個人の感想であり、貴方から見れば納得できない点があるであろうことは理解しているつもりですし、Amazonに書いた書評についても多少過激な表現や断言を含むことは承知しています。
しかし私の書いた一連のエントリと貴方の支援者の方のコメント対する返信まで一から十まですべて「悪質」「誹謗」と切って捨てるのでしょうか?
できれば以下の一連のやりとりなどをご覧になった上でご回答いただければと思います。
http://d.hatena.ne.jp/yuta-celestial/20080320/1206038393#c
http://d.hatena.ne.jp/yuta-celestial/20080326/1206507785

質問部分に対する野口氏の回答は以下のようなものであった。

ご■質問■に対しての基本的な見解ですが、
拙著に対し全面的に共感できない方がいらっしゃるのは明らかな事実です。
そして、社会的な基本ルールに基づき誠実に問うてこられる方に対しては、当然誠意をもってお答えすべきなのが本社会における「信義即」であると認識いたしております。
しかしながら、今回事件のごとく社会的な基本ルールを逸脱した場合においてはその限りではないことをご了解ください。

結局どの点が「社会的な基本的ルールの逸脱」であるかも明言せず、コメント欄やトラックバックでいくらでもこちらにコンタクトがとれる状況にもかかわらず、訴訟をちらつかせてきたというのはなんとも腑に落ちない。
たとえが悪いが名誉毀損で訴えるぞ!という脅迫に近いものを感じた。こういうやりとりはお互いプラスにならないと思うのだが…特に「支える」ネットにおいて俺への一方的かつ執拗なコメントに対して制止もしなかった点を未必の故意と考えてしまうと野口氏やその支援団体にとって非常にマイナスになってしまうのではないだろうか。
はてさてどっちが逆上、逆恨みしてるのやら…。



人事みたいだが池田信夫氏と天羽優子氏のやりとりを見てるようだ(ぉ

*1:このトラックバックは本エントリを書いている時点では削除されていないが、その後ついた明らかなスパムトラックバックも削除されていないことを見ると、野口氏による「証拠保全」と考えられる。

*2:これでも「公然と」に当たる。調べればすぐ分かるのでここでは説明しない

*3:そこまで列挙するほどあれば、の話だが