イノベーションのジレンマ 読んだよ

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

社会人になる前に読んでおきたかった一冊。


要はこういう話。


ディスクドライブ、掘削機、鉄鋼、自動車業界で起こったイノベーションと、なぜ優良企業が失敗するのかについて書かれている。
顧客の声に熱心に耳を傾ける企業は決して企業がダメなわけではなく、顧客が衆愚であるわけでもなく、求めるものの質が変わるというのは起こったイノベーションを後から見ればすぐに分かることだが実際に起きつつあるイノベーションについてはなかなか分かりそうもない。


ディスクドライブの話は12インチからの話で古臭いかなと思ったが今でも十分通用する話だった。フラッシュメモリが台頭してくるという著者の予想も見事に当たってる。
この業界はずっとイノベーションが続いてる感じだなあ。磁気テープって今どうなのか知らんが大容量データのバックアップもテラバイトHDDでできるし、個人でテラバイトのHDDが必要な場面て正直そんなに無い気がする。まあHD動画とか貯めこむなら別だけど。
で、やっぱり次はSSDがくるのかな。HDDの優位性も最近は値段くらいしかない気がする。

p.61
キム・クラークは、自動車などの製品の技術力は、経験のなかで階層的に蓄積されるとしている。どの技術的問題を解決し、どの問題を解決しないかという過去の選択の積み重ねによって、組織が蓄積する能力と知識の種類が決まる。製品やプロセスの性能上の問題を解決するために、過去に蓄積してきた知識とまったく異なる知識が必要になるとき、その企業はつまづく可能性が高い。

p.165
コスト節減をねらったこの統合は、どのような影響を与えたのだろうか。一つの組織のなかに、二つの収益モデルが平穏に共存できるはずのないことが、いっそうはっきりしたにすぎない。

ここら辺も興味深い。大企業では破壊的イノベーションを起こす市場の規模では物足りないから新会社を作るとかしないといかんのかな。


第十章に書かれている、性能の低い電気自動車のターゲットを十代の若者にするという話もなかなか面白い。



あとはあれだ、技術者も経営のセンスがいるって言われるけど経営者も技術のセンスがいるよな。もちろんスペシャリストはスペシャリストであれこれ手を出しすぎたら中途半端になるけど、「専門外なので知りません/分かりません」って態度はよろしくない。