なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか 読んだよ

なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか(祥伝社新書226)

「数千人の利益のために、数百万人を泣かせる行為」
韓国で最盛期には2万店はあったといわれるパチンコが2006年に全廃されたというなんともすごい話、が前半。本書のページの大半は、なぜ日本はパチンコを全廃できないのかの説明に割かれている。
警察、マスコミ、パチンコ議員には、銭のためとか良心がどうのとかいう表現すら生ぬるい。利益を享受している人間もハマる人間も、当たり前にあるパチンコ屋に疑問を持たない人間も、本書にある言葉通り「正気を取り戻さなくてはならない」と思う。


業者も業者ならメーカもメーカで、オムロンがこんな特許を出しているというのも紹介されている。
遊技管理システムとそのプログラム、及び遊技許容装置 - 特開2003−251059



本書で紹介されてるネットの書き込みとかはこことかか。

俺さ、パチ屋で働いてたのよ。お客さんの中にさ、負けても負けても毎日ってくらいくるオバちゃんがいたのね。結構性格いいひとでさあ、たまに勝った時とかジュースくれたりするんだ。オバちゃんの持ち物が、だんだん安物になっていくんだわ...今まで5万円とか打ってたのに、だんだん使う金も少なくなっていって...それでも、ほぼ毎日来てたよ。んで、ある日、「今日はあのオバちゃんこないねぇ」って言ってたら、次の日、隣町のパチンコ屋のトイレで首つってたよ。

オバちゃんはパチンコ屋に殺されたっていうか、パチンコがやめれずに死んだんだな。俺はその後、一ヶ月くらいでパチ屋やめた。負ける奴で成り立つ商売やってて、平気でいられなくなったわけさ。悪いことはいわねぇから、遊びを超えてパチンコにのめり込むなよー。

なんかソースがWikipediaのものがあったり、数字については端折ってる部分もあるのか、ちょっと説明不足な印象も受けたが、それでも日本のパチンコのヤバさを実感するには十分だった。


パチンコだけでなく、日本におけるおかしな現象についても興味深いことが書かれている。

pp.104--105
パチンコの問題に限らず、この国には偽善、欺瞞が蔓延している。
省エネが盛んに謳われ、エコ、エコと煩わしいほどだが、一方で、自動販売機の設置数は世界一である。二四時間モーターを回し続けて電気を浪費し、冷却のモーターから熱を発し続けている。
(略)
自動販売機を半分に減らせば、原発が一基いらなくなるといわれている。
(略)
偽善や欺瞞の多い点では、日本は世界でもトップクラスである。

エコロジーの皮を被った歪んだエコノミー。プルトップやペットボトルキャップなんていう意味のない回収に疑問を持たない思考停止。
しかしさすがに原発1基分ってでかくね?と思って調べてみると、日本の原子力発電所の出力を単純に平均すると1基あたりの出力は90万kW、自販機の消費電力が500〜1000Wだそうだが、台数500万台で計算すると、自販機1台500Wだとしても半減させて125万kW、あれ、マジで原発1基分余裕で減らせるのか?数字で考えるのは大事だな。



さらに韓国一般についても、

p.73
韓国が健全なのは、被害が多くなれば陣族に対処する誠意を持っていることである。

pp.171--176
日本人は、韓国人に大して在日とかチョンとか侮蔑的な表現を平気で使うが、韓国がパチンコを全廃した良識をどう見るのか。(中略)極端に言うならば、日本は電車のマナーでも韓国に後れをとるようになっている。(略)

経済の話題だと中国や韓国の存在感は大きいが、ネットを中心としたレッテル貼りもどうにかならんもんか。お互いが最底辺のレベルの揚げ足を取って罵り合ってるのがせいぜいの現状じゃなかろうか。まあ問題は問題でいろいろあるけど、それで良いところも見習えないなら話にならない。


この国はどうなっていくんだろう。