未来のつくりかた アウディで学んだこと 読んだよ

未来のつくりかた アウディで学んだこと

NBonlineの記事を読んでちょっと気になったので本を買ってみた。
014|「お父さんの好きなクルマ」を買おう エコカー以上に大切な選択基準:日経ビジネスオンライン
027|急いでやる仕事にろくな仕事はない 寝かせるマネージメント:日経ビジネスオンライン


機能的で無駄のないデザイン、「LESS AND MORE(より少なく、より豊かに)」というディーター・ラムスの言葉、そしてそれと似た「より少なく、しかしより良いものを(Less but better)」という筆者の言葉には共感する。機能美が大事。

p.82
私は誰とも戦いません。ただし、私自身に対する挑戦は怠りません。それがモノを創り出すクリエイターの使命だからです。

p.122
人の思いや精神が多くものの中に宿り、そこから生きていく上での大きなメッセージとなって人の心に伝わっていく、それが真の「もの」です。出すときから次のことを考えて出すようなモノは単なるゴミです。もう皆さん分かっていることと思います。これから「もの」を創り出すクリエイターには大きな責任があります。現代資本主義の消費社会はもう限界にきています。創る以上、こころに伝える本当のものを創りましょう。「もの」を創る、そして文化を創るとはそういうことです。

消費する側も何に価値を見いだすか、モノの溢れた時代だからこそ考えるべきなんじゃなかろうか。
仕事でもたとえば10年、20年というスパンでロードマップを作っているが、「売れるモノ」をなりふりかまわず作っていないか?それが世に出たときに本当に自分が欲しいモノを作っているか?という問いは忘れないようにしたい。


TTのエピソードもなかなかよかった。

p.128
私は2代目TTのデザイン開発に携わっていましたが、今でもよく思い出すことがあります。その偉大な初代 超えなければならない開発がいかに難しかったことか。
あるプレゼンテーションで2代目提案モデルの横に、参考車BMW Z3が置かれようとしていた瞬間、ディレクターはスタジオに響き渡るような大きな声でこう言いました。「我々の最大のライバルはオリジナルのTTだ。TTを持って来い。その他の参考車は必要ない」。何か胸の奥にジーンときたことを覚えています。これがアウディデザインだと。

デザインのみならず、ものづくりの精神においても色々と考えさせられるところの多い一冊。

p.145
「創造」はあるとき傲慢になります。
「挑戦」はあるとき欲望に変わります。
「謙虚」さを忘れた姿勢からは、結局何も生み出されないことを知るべきです。