死刑と無期懲役 読んだよ

死刑と無期懲役 (ちくま新書)

刑務官であった著者が拘置所内で経験した死刑囚とのやりとりや死刑執行の様子などが詳しく描かれている。

死刑にしろ無期懲役にしろ、本書でも指摘されている冤罪の可能性や厳罰化の是非についての問題は常にあると思うが、本書で紹介されている死刑囚の様子は美談になりすぎているような気がした。
犯罪者の更生を目指すというのは結構なことだが、そもそものリソースが足りなくてきめ細かなケアができないのなら本末転倒だ。10のコストをかけて1の犯罪者の更正しかできないくらいなら、10のコストを被害者救済に充てる方がまだマシだ。懲役刑にだって市場原理を導入して10のコストで100のリターンを得てそれを犯罪者の更生と被害者の救済に振り分けるだけでもずいぶんと改善するんじゃなかろうか。


刑罰の思想も懲罰から更正に、さらに被害者救済にシフトしていくのが現状に合っているように思う。