茂木健一郎さん特別講義

諸事情で朝の5時くらいに帰ってきてガッツリ寝ようと思ってたのだが、ふとBlackerさんの日記を見ると「明日は茂木健一郎の集中講義がある」とか書いてあってちょまwwwwwwってなった。
日程が合ったら行こうと思って一応履修だけしてたが他学部の授業なのでBlackerさん情報だけた頼りだったのにw

これ→茂木健一郎 クオリア日記: 友情


10秒ほど悩んだがせっかくの機会なので行くことに。理学部はなんかのレポート出しに行ったことがあるだけだったのでちょっと迷った。
で、9時前に大学着いたのだが待てども待てども茂木さん登場せず。1時間ほど放置プレイを食らったあとになんか先生がやってきて「茂木さん用事ができたので授業は午後からになります」ってえぇーorz


とりあえず眠かったのでいったん研究室に戻って寝て起きたらいい感じの時間だったので再び教室へ。
しばらく待ってたら茂木さん登場。ようやく授業だ。
パソコンはリンゴのマークのついた最新のvaioだった。さすがソニー


なんか最近のテレビというかメディアを通してみる茂木さんはオカルト混じりの怪しいオッサン、せいぜいプロフェッショナルでゲストと喋る内容が天才同士の会話というか非常に高い次元でなんか喋ってるなぁという印象だったが、実際話を聞いてみるとものすごく尖った感じで博覧強記を絵に描いたような人だった。面白い。
そしてエンジニアから見るとやっぱり理学の人だなという感じがした。


2日あるはずだったのだが結局授業は1日だけらしい。2日目に脳と仮想でも持ってきてサインもらおうかと思ってたので急遽休み時間に一緒に写真撮ってもらってダッシュで研究室にもどって印刷し、講義終了後にその紙にサインしてもらった。相変わらずのミーハーっぷり(ぉ


いつものようにメモメモしながら話を聞く。感想疑問も交えつつ。

前半

ミラーニューロン…たとえば運動系の活動。実際に自分が運動するときと、他人がその運動をするのを見たときに活性化する。これが人間の知性の本質的なところで、他人の心の理解のために重要。これは人間にしかできない。
Contingency;偶有性…何かと何かが関係しているということを意味する。ある程度予想できるけど必ずそうなるとは限らない。例外もあるのが認知現象におけるポイント。ユングシンクロニシティとは違う。電話の話をしてたら電話がなるとか。信心深いバカ人はそういうの信じたがるけど。バーナム効果ってシンクロニシティに似てる気がするな。
大脳新皮質、回と溝…そこらへんの活動レベルが違うと…?モノを覚えるときに覚えるものと覚えないモノを無意識に選んでいる。たとえば単語を覚えるような場合、結果的にみると覚えてる単語と覚えてない単語で脳の活動レベルが違う。
記憶の編集…Prefrontal cortex:Working memory→Encoding(〜5sec)→Episodic Memory→Editing→(〜years)Semantic memory
エピソード記憶から意味記憶への変換が行われている。英単語なんか覚えるのはエピソードから意味にもっていくのが学習にはいい。

Stephen Wiltshire
自閉症サヴァン…記憶から絵を描く。ディティールはあるが構図がない。部分からいきなり描き出す。洞窟壁画というのは今で言うサヴァンが描いたものではないか。サヴァン的能力と言語的能力はトレードオフの関係にある。
サヴァン的能力=マッチング?
言語化能力=抽象化?


GallupのMirror test
自己意識を鏡を使って研究する。鏡に映った自分を自分と認識できるか?鏡に映る自分と自己意識に何らかの関係性がある。感覚運動連関(Sensor motor Contingency)
共感能力が高い動物がミラーテストに合格する可能性が高い。鏡を見て自己認識する能力は言語化能力、抽象化能力と関係している?
相手の気持ちが分かる=自分の気持ちと照らし合わせて相手の気持ちを推し量ることができる。
志向性(Intentionality)


ヴィトゲンシュタインはイケメン。


本当に見てることを理解してるのか?
相手が見てるということを理解してるということをどう客観的に検証できるか。人間以外の動物では相手が何かを見てるということを理解できない。

化粧…自己を社会的に構築するメカニズムと密接に関わっている。化粧した状態と素顔で脳の状態はどう違うのか?自分の顔をみたときに活動する部位と他人の顔をみたときに活動する部位は違うが、化粧をした自分の顔を見たときにはあたかも他人の顔をみたときのような反応をしている。ある意味では化粧段階で自分を客観視している。化粧すると脳状態が変わる。

後半

TOEができれば全部記述できるのか?→それはない!電車のガタンゴトンという音がいかにフーリエ級数で表せたからといって質感は数式では表せない。クオリアはそういう穴を埋めるもの。
反応選択性…いくら積み重ねても意識について論理的に証明できない。対応関係は実験者からしか分からない。意識の第一原理は説明できない。

たとえば赤い色を波長で記述できても実際に主観的にどう見えてるかってのは全然違う可能性もあるわけだよなぁ、そうすると検証可能性もなくなってしまうわけだがその辺はどうなんだろう。


マッハの原理…ある瞬間に意識に上る表象の内容はその瞬間の神経細胞の相互関係によってのみ記述される。
相互作用現実性(Principle Of Interaction Simultaneity)…因果性との関わり。普通の座標時だと個物があって変化しているが、個物とそれらの相互作用をまとめて同じ時間とした固有時を用いる。

関係性とか素課程の話をし出すと脳の外まで話が及んでしまうのでは?
cf:存在論 - 天球日記Je pense, donc je suis. - 天球日記

メタ認知…脳の中に小人がいて第三者的に見てるような活動が起こっている。いかにマッハの原理にメタ認知をカップリングさせるかが課題。両眼視野闘争の話とか。

脳の強化学習…オープンエンドなシステム。学習則はサチらない。どういう行為でドーパミンが出るかということは自由。生理的欲求ドーパミンがでることもあるし、快楽殺人でドーパミンが出る奴もいる。

EllsbergのParadox…不確実性が適切な文脈で提示されるとドーパミンが放出される。利得を最大化するという単純なパラダイムで考えてはだめ。ネットサービスがどれくらいユーザを増やせるかは不確実性の設計の問題。

経験の一回性…自分が見たモノが二度と戻ってこないということを忘れている。
これってPCでがんばってメモ取ってる俺どうなん?って感じだな。

無記…仏教には極楽浄土とか本来無い。目の前に矢が刺さって苦しんでる人がいるのに矢がどこから飛んできたかとかを尋ねるのは愚問。

脳がコントロール可能ではないということは決定論的ということとはちがうんだろうか?
関係性が分かったところで他人の脳はコントロールできない。自分の脳も実験者視点からでないと見れない。
Contingencyやクオリアは観測可能性を目指してるのか?だとしたら純粋科学だなぁ。

名言

魂は売らない!
人間をバカにするな!
大事なことは一切答えない!
脳を鍛えるドリルなんて教師あり学習じゃねえかくだらねえ!

そのた

研究室の人は結構茂木健一郎知らん感じで意外だった。クオリアの人って言ってもプロフェッショナルの人って言ってもアハ体験の人って言ってもなかなか通じない。みんなあんまり興味ないのか?
そういやアハ体験はアハってなった瞬間に脳が異常に活性化するらしい。これは普通の状態からすると危険な状態で、そういう体験を繰り返すことで強化学習がなされるとかなんとか。

理学部の学生はいい意味で変態揃いだった。
なんで地球惑星科学科の講義なんだろうと思ってたら郡司ペギオ幸夫先生つながりらしい。郡司ペギオ幸夫先生の話は茂木さんのBlogに詳しい。

もうちょっと哲学とかその辺の本も読まないとなぁと思った。