欲望する脳 読んだよ

欲望する脳 (集英社新書 418G)
気になったところに付箋を貼っていったらすごい量になった。

p.9
ティーンエイジャーの頃、私は孔子よりも老子の方が好きだった。

すげえティーンエイジャーだ…。


もともとは特別講義のときにちらっと聞いた「宝くじは無知への課税である」という話の元ネタについてなんか詳しく載ってないかなと思って買ったのだが、その点については特に何もなかった。
相変わらず鬼のような博識っぷりだ。脳科学の話はもちろん、文学、音楽、芸術、IT、神経経済学、哲学と分野がもう縦横無尽すぎる。

七十而従心所欲、不踰矩という言葉が何度も出てくる。この言葉を軸に欲望と倫理性についての考察がなされている。

気になったところは大量にあるのだが、とりあえずいくらか抜粋。



主語にとらわれずに考える、というところで主語をより操作性の高い概念で置き換える、というのは一般化ということだろうか。一般化という表現は見られなかった。
一般化と本書で比較的否定的に扱われてる単純化って混同しやすい気がするな。正しい一般化というと適用可能範囲が拡大する代わりに実際適用しようとするとややこしくなる感じがするからこの辺も注意の問題か。

p.90
「意識の中で表象される内容は、全て脳の神経細胞の活動によって引き起こされている」
(中略)
意識が何によって引き起こされているのかという問題をいったん離れれば、脳の神経細胞を巡るダイナミクスは、個々の脳に閉じているわけではない。

世界が決定論的だったら脳の働きも決定論的なんじゃないかと思ってたけど意識の表象に限ればたしかに脳という閉じた系で説明が付くのか。この辺は厳密に分けないといかんな、意外と気付かなかった。しかし開放系ダイナミクス哲学的ゾンビという関係だったとしたらどうなるんだろう。


ほかに気になったキーワードは伊藤若冲、準備電位、文学作品の偶有生からの誕生とかとか。