鬱病の診断と治療

この記事の親記事はこちら


鬱病治療の研究は100年近くにわたって行われており、その進歩はめざましい。近年は米国精神医学会のDSM(精神障害の診断と統計の手引き)やWHOのICD(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)などの国際基準によって軽症段階での客観的な診断が可能になってきたほか、抗うつ薬も多数開発されて選択肢が広まっている。さらに、鬱病の薬物治療アルゴリズムとして治療手順も確立されつつあるため、投薬と適切な治療によって早期発見、回復が期待できる病気といえる。


診断はDSM-IV-TRやICD-10などが主に使われている。原因でなく症状に焦点を当てて診断するので、プライバシーの問題が気になる患者もそれほど心配はないと思われる。DSMの診断基準などはWebや書籍でも見ることができるが、診断は医師が下すことを前提として作られているので、鬱病経験者や詳しい人であっても安易に断定せず、専門医の受診を勧めるにとどめるのがよい。また、カウンセラーであっても医師免許がない限り診断、診察、投薬は認められていないので治療を受ける際にも注意する必要がある。


治療は投薬とカウンセリング、環境改善などを組み合わせて行うのが一般的である。心の病気だからと薬を用いるのに抵抗があるかもしれないが、抗うつ薬の効果は実際に臨床で認められているし、近年は副作用が少なく、飲みやすいものもある。
治療効果は出始めるのにやや時間を要するが、早い人であれば1〜2週間から効果が見え始める場合もある。難治性鬱病の場合を除いて、数ヶ月〜数年で良くなるのが普通のようである。

また、治療効果も同様にDSMやベックの抑うつ尺度(BDI)などである程度把握できる。

ちなみにどの科を受診すればよいかであるが、精神科という名前の敷居の高さを意識して心療内科とする医院もあることから一概には言えないが、一般的には以下の通りである。