宇宙創成 読んだよ

宇宙創成〈上〉 (新潮文庫) 宇宙創成〈下〉 (新潮文庫)

サイモン・シンの「ビッグバン宇宙論」が改題して文庫で出てたので買った。引っ越してからやっと読了した本が出てきた。もうちょい読むペース上げんとな。

上巻では創世記からプトレマイオスコペルニクスガリレオニュートンアインシュタインと続く宇宙論の歴史が描かれている。後半でハッブルとか赤方偏移まで出てきて下巻はどういう展開になるのかと思ってたら電波天文学、原子物理学、そして宇宙背景放射の観測で定常宇宙論とビッグバン宇宙論にひとまずの決着が着くまでが描かれていた。
上巻で歴史が思いのほか早く進んだのでもしかしてインフレーションとかホーキングの宇宙論まで出てくるのかと思ったがインフレーションと量子論がエピローグでちょっと触れられただけだった。まあ原題が「Big Bang」だしなぁ。
訳者あとがきにも書いてあるが、本書は科学的方法とは何ぞやということが真正面から描かれている。そしてそれなりに宇宙論について知ってても十分楽しめる。


科学と宗教についてのルメートルの台詞の部分が印象的だった。

下巻 p. 23
信仰と科学を同列に論じてはならないという点について、ルメートルはこう述べている。「プロ、アマを問わず何百人という科学者が、聖書に書いてあることは科学的に見ておかしいなどと心の中では考えています」と彼は行った。「しかしそれは、二項定理の中には正真正銘の宗教的教義が含まれていると考えるようなものです」

ガリレオコペルニクスにしろ、ダーウィンにしろ、宗教が悪とは言わないまでも、教義だからといって許容することになんとなく釈然としないものを感じていたが、信仰と科学の間でどういう態度を取るかということに関して一つの明快な答えになりえそうな気がした。