この国が忘れていた正義 読んだよ

この国が忘れていた正義 (文春新書)

日本という国は犯罪者福祉型社会で、効果も甚だ疑わしい犯罪者の「更正」に莫大な金をつぎ込む一方で被害者の救済は二の次ですよという実態を書いた本。
合理的経済人で経済が完全に説明しきれないのと同じような話で、「犯罪者治療モデル」で更正しない犯罪者なんてそこら中にいる。というかむしろこのモデルが犯罪者の可塑性なんてのを仮定してる時点で怪しいのかもしれない。


どうしようもない犯罪者には流刑なんてどうだろうとか書いたこともあったが、考えてみればこれもいかに犯罪者を処罰すべきかという観点であって、被害者救済をどうするかということまでは考えが及んでなかった。本書に書かれている民営刑務所をはじめとする被害者への賠償方法の提案は現状を打破する一つの案としていいかもしれない。

人権を履き違えた犯罪者擁護派や、教育的配慮が大好きな方々、マスコミに振り回されて衆愚となってしまいがちな民意を鑑みても、犯罪者をどう裁くか(あるいは更正させるか)よりも優先すべきは被害者救済だろう。民刑分離なんていうシステムの上で税金使って犯罪者にユルい健康的な生活を送らせるくらいならその金を全部被害者の救済に当てる方がよっぽど有意義な使い方なんじゃなかろうか。